生き生きとした音楽の生命感。高域に至るまで俊敏な音の立ち上がり。広帯域ハイスルーレート完全バランスCSSCの真価は音楽の一瞬一瞬の鮮明な色彩となってあらわれます。一般に増幅段はそれぞれの音質に微妙な影響を与え、特に高域の鮮明さを失わせる特質があることが知られています。CSSC回路はシングル・スタガー回路をさらにコンプリメンタリー構成とすることで制御を極小化。過剰制御で音楽を萎縮させることなく、広帯域でハイ・スルーレートな音質を獲得した回路です。初段は入力インピーダンスを高くとったデュアルFETとカスコード接続トランジスターのコンプリメンタリー回路、次段はベース接地による電流伝送段とし、カットオフ周波数を充分に高くすることで余分な位相補正を必要としない自然な信号増幅を実現しています。B-10IIはさらに、このCSSC回路を2つ組み合わせた完全バランスCSSC構成を採用。出力時に信号に混入したノイズを互いに打ち消し合うため、外部からの影響に強く、S/Nの飛躍的な向上が図れます。

圧倒的なクライマックスからピアニッシモの微かなささやきまで、音楽の呼吸に合わせたエネルギー供給をおこなうハイ・イナーシャ電源が音楽に自然な躍動感をあてます。リアルタイムな音楽信号とそれがフィードバックされて制御が働くまでの間には確実な時間差があり、電源電圧が絶えず小刻みに揺れている原因を生んでいます。このハイ・イナーシャ電源は従来とまったく異なる電源構想によって、この電圧変動に新しい解決法を与えました。超大型800VAのEIトランスと充放電特性に優れた22,000μFのカスタム・メイド・コンデンサー4本により、電源部本来の裸特性によるレギュレーションを高め、余裕をもって電圧変動に対処。これにより従来とは逆に音を萎縮させる過剰な制御を可能な限り極小化。この手法により、小刻みに揺れる不自然な電圧変動をゆったりとした変動に変え、ミクロ単位で観察した際にはほとんど変動の見られない自然な供給を得ることを可能にしています。

アトラクティブな動きで刻々と変化する音楽信号を表示する、使いやすい対数圧縮型の120x100mm大型パワーメーターを装備。音楽のダイナミズムを視覚的に感知するという音楽マインドに満ちた楽しみを加えています。

よりクリーンで安定した電源を供給するため、B-10IIでは電源部のさまざまな干渉ノイズ排除と不要振動対策に新しい方式を導入しました。トランス、整流ダイオード、ブロックコンデンサーなどの電源部を信号経路と完全に分離させ別シャーシ内に収納。この独立電源ルーム方式により、電源は筐体内に収めながらも、セパレート型電源部と同様の効果を実現しています。

新たに開発された超ローノイズカスタムメイド抵抗器の他にも、大型電源トランス、大容量ブロックコンデンサーをはじめ、非磁性体抵抗、電解コンデンサー、銅スチロールコンデンサー、銅製バスバー、高純度な6Nケーブルなど、高度な技術と感性でこだわりぬいたカスタムパーツを採用。さらに、インピーダンス変動を極小化するため70μと厚めに設定された銅箔によるパターンと絶縁性に優れたガラスエポキシ基板による妥協のない音質追及が行われています。